防風通聖散はなぜダイエットに使われる?薬剤師が仕組みを解説

便秘気味で、お腹まわりの脂肪が気になる。

「防風通聖散って本当に痩せるの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

市販でも購入できるため、なんとなく試している人や、買ってみようかなと思っている人もいると思います。

ですが、「なぜ痩せるのか」を理解している人は多くありません。

実は防風通聖散は体質に合えば効果が期待できますが、そうでなければ「思ったほど痩せない」と感じる事もありえます。

この記事では、防風通聖散がお腹の脂肪にどう関わるのかを薬剤師の視点で整理します。

防風通聖散は「脂肪を直接減らす薬」ではなく、体にたまった余分な熱や水分の停滞を改善し、体のバランスを整える漢方薬です。

その結果として、代謝や便通が改善し、体重が変化することがあります。

つまり「痩せ薬」というより、痩せやすい状態を作る薬と考えると理解しやすいでしょう。

さらに防風通聖散の構成生薬も表にしていますのでご参照ください。


防風通聖散で体重が減る理由は、1つではありません。

いくつかの作用が重なった結果として体重変化が起こります。

薬剤師の視点から、重要なポイントを順番に解説します。

【1】便通改善作用(最初に体重変化を感じやすい理由)

防風通聖散には 大黄(ダイオウ) や 芒硝(ボウショウ) が含まれています。

これらは腸の動きを促し、便をやわらかくする作用を持つ生薬です。

  • 腸内に滞っていた内容物が排出される
  • お腹の張りが改善する

こうした作用により、服用初期に体重が減ることがあります。

ここで重要なのは、これは脂肪が減ったわけではないという点です。

ただし、慢性的な便秘が改善すると腸内環境や代謝にも良い影響が出るため、その後の体質改善につながることに期待できます。

【2】麻黄による代謝・発汗促進作用

防風通聖散には 麻黄(マオウ) が含まれています。

麻黄に含まれる成分は交感神経を刺激し、下記の作用が期待されます。

  • エネルギー消費の増加
  • 食欲抑制
  • 脂肪分解酵素(ホルモン感受性リパーゼ)活性化

ただし、強力な「脂肪燃焼サプリ」のような作用というよりも、基礎代謝を少し底上げするイメージの方が適切と言えます。

そのため、生活習慣改善と組み合わせたときに体重変化が出やすくなります。

【3】内臓脂肪蓄積への影響

防風通聖散は、特にお腹周りの脂肪に効くという訳ではありません。

お腹の脂肪を狙って燃焼させるような薬は現在では開発されていません。

ただ、内臓脂肪は他の部位に比べて反応しやすいので、ポッコリお腹に効果が出やすいとされています。

研究では、防風通聖散が内臓脂肪の蓄積に関わる代謝へ影響する可能性も報告されています。

特に、脂質代謝の改善や炎症性サイトカインの抑制といった作用が示唆されています。

ただしここでも重要なのは、 脂肪を直接溶かす薬ではないという点です。

防風通聖散は「脂肪を減らす薬」ではなく、脂肪がたまりやすい体質を整える薬というとらえ方が適切です。

■どんな人に向いている薬なのか

防風通聖散は、誰にでも合う漢方薬ではありません。

実証の人に向いていると解説しましたが、具体的に示していきます。

特に効果が期待しやすいのは次のようなタイプの方です。

  • お腹まわりに脂肪がつきやすい
  • がっしり体型(実証)
  • 便秘傾向
  • 食欲旺盛
  • のぼせやすく暑がり

一方で、次のような方では副作用が出やすく注意が必要です。

  • 痩せ型・体力が低い
  • 胃腸が弱い
  • 冷え性
  • 下痢しやすい

■重篤な副作用や長期服用に注意

稀ではありますが、間質性肺炎や肝機能障害などの重篤な副作用も報告されています。

検査値の異常等がないかを、医療機関で定期的に確認してもらうこともお勧めします。

また、長期服用することで、山梔子(サンシシ)が原因の大腸静脈石灰化による腸間膜静脈硬化症や、大黄(ダイオウ)による大腸粘膜が褐色〜黒色に変色する大腸メラノーシスの可能性もあるので、必要に応じて休薬期間を設ける事も大事です。

防風通聖散は「飲むだけで痩せる薬」ではありません。

便通改善、代謝促進、体質調整といった作用によって、結果として体重が減ることがある漢方薬です。

合う人には効果が期待できますが、体質に合わなければ十分な効果は得られません。

なんとなく「ダイエット薬」として飲むのではなく、自分の体質に合っているかを理解したうえで選ぶことが大切です。

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