結論から言うと、気管支喘息は成長とともに症状が落ち着いてくるケースが多い病気です。
特に小児期に発症する喘息では、思春期前後から成人にかけて症状が軽くなったり、発作がほとんど出なくなったりする方も少なくありません。
ただし、すべての人が必ず治るわけではなく、再発する可能性もあるため、正しい知識を持って付き合っていくことが大切です。
今回は「なぜ小児喘息は成長とともに落ち着くことがあるのか」「どんな気管支喘息が緩解しやすいのか」「再発リスクはあるのか」を中心に解説します。
①気管支喘息の種類と特徴(症状と罹患リスクが高い患者層)
気管支喘息には、子どもに多いタイプや成人に多いタイプ、薬や運動などの外的要因がきっかけで起こるタイプなど、さまざまな種類があります。
【1】アトピー型喘息
・IgE抗体が関与するアレルギー反応から症状が現れる喘息
・ダニ、ハウスダスト、花粉などが原因
・小児喘息の多くがこのタイプ
・アトピー素因などアレルギー体質の人に多い
【2】非アトピー型喘息
・IgEが関与せず、アレルギー以外の要因が引き金となる
・感染、冷気、煙、ストレスなどが誘因
・小児期に発症することは比較的少なく、成人発症が多い
【3】小児喘息
・小児喘息とは「小児期に発症した気管支喘息」の総称
・小児喘息の中でも約7~9割がアトピー型喘息であり、これが今回のテーマの中心
・成長とともに緩解しやすい特徴がある
【4】咳喘息
・咳のみが続き、喘鳴がない
・成人に多い
・気管支拡張薬により咳症状が改善する
・放置すると典型的な気管支喘息へ移行するリスクがある
【5】アスピリン喘息
アスピリン喘息は症状が重く、命に関わる危険性もあるので、症状が重いと感じたら医療機関へ連絡するか、救急車を呼んでください。
アスピリン喘息の既往がある方は、アスピリン(バイアスピリン含む)やNSAIDsは禁忌となります。
・解熱鎮痛薬(NSAIDs)で発作を起こす
・成人発症がほとんど
・小児ではまれ
・激しい喘息発作(呼吸困難、喘鳴、咳)と強い鼻症状(鼻づまり、鼻水)が数十分から数時間で現れる
・鼻ポリープや慢性副鼻腔炎を合併しやすい
【6】運動誘発喘息
・運動後に咳や息切れが出る
・喘息の一症状として現れることが多い
・医師の指導のもと適切な治療を行えば運動することは可能
②小児喘息が成長に伴って緩解していく流れ
■小児喘息の発症時期
まず、小児喘息患者は3歳までにその60%が、6歳までに90%が発症すると言われていますが、乳児期(0歳)で小児喘息と診断されることもあります。
■小児喘息が良くなる人の割合
報告により差はありますが、約50〜70%が思春期〜成人までに症状が軽快または消失すると言われています。
緩解後に医師の指示のもと治療を中断し、5年以上症状が出ない状態を一般的に「治癒」といい、これを目標に治療を続けることが大切です。
ただし、症状が重い場合やアレルギー体質(アトピー素因)の傾向にある方は、成人になっても喘息症状がある場合が少なくありません。
■なぜ成長とともに良くなるのか?
【1】 気管支が成長して太くなる
子供の細い気管支に比べ、大人の太い気管支は少しの炎症では狭くなりにくく喘息症状が出にくくなります。
【2】免疫バランスの変化
成長とともに免疫系が成熟し、アレルゲンやウイルスに対する過剰反応が少なくなります。
【3】感染に強くなる
風邪などの感染症をきっかけにした喘息症状が悪化するケースは減少します。
③再発リスクや成長後の注意点について
症状が落ち着いたあとや、成人後も再発の可能性はゼロではありません。
■再発のきっかけ
・強いストレスや疲労
・環境変化(引っ越し、職場)
・アレルゲン曝露
・喫煙・受動喫煙
成長してから症状が落ち着いた後も、アレルゲンや誘引物質を避けることは大切です。
■体の成長や月経などに関係するホルモンの影響
女性ホルモンの影響が強いとされる場合は、内科・アレルギー科と婦人科など複数の診療科が連携し、ホルモンバランスを考慮した治療が望ましい場合もあります。
・女性は月経周期や更年期の影響で喘息症状が出やすくなる
・妊娠はホルモン変化に加え、横隔膜への圧迫が呼吸を浅くし、喘息悪化のリスクがある
・男性ホルモンも喘息に影響があるとされるが、思春期以降は男性の方が有病率は低い
■高齢期の注意点
・免疫力低下から風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症が発作要因となる
・喘息とCOPDの鑑別が重要
・喫煙歴があるとCOPDリスクが上昇
④まとめ
小児喘息は、成長とともに症状が落ち着いてくることが多い病気です。
ただし、自然に治るだろうと自己判断で治療を中断してはいけません。
自己判断で治療を中止してしまうと、自覚症状のない慢性的な炎症により、気道のリモデリングが起こることがあります。
気道のリモデリングとは炎症のため気道が損傷し修復される過程を繰り返し、気道の壁が厚く硬くなり、気道が狭くなったまま元に戻らなくなる不可逆的な変化です。
これが起こると、喘息が重症化・難治化し、吸入ステロイド薬が効きにくくなることがあります。
大切なのは、医師の指導のもと、吸入薬などの治療を継続することや、喘息の原因となるアレルゲンなどを可能な限り避けることです。
不安なことがあれば、自己判断せず、医師や薬剤師に相談しながら治療を続けていきましょう。