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  • ビタミンB6とは?筋肉・脳・神経への働きや多く含む食品、医薬品まで薬剤師が解説

    ビタミンB6とは?筋肉・脳・神経への働きや多く含む食品、医薬品まで薬剤師が解説

    ビタミンB6は、アミノ酸(タンパク質)の代謝や脳・神経の働きに関わっています。

    筋肉の維持や神経伝達物質の合成にも関わるため、私たちの体にとって非常に重要な役割を担っています

    では、なぜビタミンB6は筋肉や脳・神経の健康維持に重要なのでしょうか。

    この記事では、ビタミンB6の作用機序や体内での働き、神経伝達物質との関係、多く含まれる食品、医薬品としての使われ方について、薬剤師の視点からわかりやすく解説します。


    ①ビタミンB6とは?体内での働きをわかりやすく解説

    ビタミンB6は、ビタミンB群の一つで、アミノ酸(タンパク質)の代謝に欠かせない栄養素です。

    体内では、PLP(ピリドキサールリン酸)という補酵素に変換され、多くの酵素反応を助けています。

    PLPは100種類以上の酵素反応に関わるとされ、特にアミノ酸の分解や合成、神経伝達物質の合成などに重要な役割を果たしています。

    私たちの体を構成する細胞や組織の多くは、アミノ酸(タンパク質)が材料として作られています。

    例えば、次のようなものもタンパク質(またはアミノ酸)を材料として作られています。

    • 筋肉
    • 皮膚
    • 酵素
    • ホルモン
    • 神経伝達物質

    しかし、食事から摂取したタンパク質は、そのまま体で利用されるわけではありません。

    一度アミノ酸へ分解され、その後、必要に応じて筋肉や皮膚、酵素、ホルモンなどのタンパク質へと組み立て直されます。

    この一連の反応を助けているのが、ビタミンB6です。

    そのため、ビタミンB6は筋肉だけでなく、皮膚や脳、神経など、全身の健康を支える重要なビタミンといえます。

    ②ビタミンB6はなぜ筋肉・脳・肌によいの?

    ここからがビタミンB6の一番面白いところです。

    ビタミンB6は「タンパク質の代謝を助けるビタミン」とよく紹介されますが、それだけではありません。

    実は筋肉や皮膚だけでなく、神経伝達物質の合成にも関わることで、脳や神経の正常な働きも支えています。

    では、ビタミンB6はどのような仕組みで体のさまざまな場所を支えているのでしょうか。

    アミノ酸の代謝を助け、筋肉の維持や修復を支える

    筋肉は主にタンパク質からできています。

    食事で摂取したタンパク質は、そのまま筋肉になるわけではなく、一度アミノ酸へ分解され、必要に応じて再び筋肉や酵素、ホルモンなどの材料として利用されます。

    ビタミンB6は、このアミノ酸の分解や合成を助ける補酵素として働いています。

    そのため、筋肉の維持や運動後の修復だけでなく、酵素やホルモンなど体内のさまざまなタンパク質を作るうえでも重要な栄養素です。


    神経伝達物質の合成を助け、脳や神経の正常な働きを支える

    ビタミンB6は、神経伝達物質を作る際にも欠かせない補酵素です。

    ・セロトニン(精神の安定)

    ・ドーパミン(意欲・やる気)

    ・GABA(興奮を抑える) 

    これらは脳や神経で情報を伝える役割を持ち、気分や意欲、睡眠、集中力など、私たちのさまざまな生命活動に関わっています。

    ビタミンB6はこれらの神経伝達物質を直接増やす薬ではありませんが、正常に合成するために欠かせない栄養素です。

    特に、神経の興奮を抑える働きをもつGABAは、ビタミンB6が補酵素として働くことで合成されます。

    そのため、ビタミンB6が不足したり、その働きが阻害されたりすると、GABAが十分に作られず、脳が興奮しやすい状態となり、けいれんを引き起こすことがあります。

    身近な例では、銀杏(ぎんなん)の食べ過ぎによる銀杏中毒があります。銀杏に含まれるギンコトキシン(4’-O-メチルピリドキシン)はビタミンB6の働きを阻害するため、GABAの合成が低下し、けいれんの原因となることがあります。

    通常量の銀杏を食べて問題になることはほとんどありませんが、一度に大量に摂取すると発症することがあるため注意が必要です。

    また、生まれつきビタミンB6(PLP)を十分に利用できないビタミンB6依存性てんかんでも、GABAの合成が障害され、けいれんが起こることが知られています。

    皮膚の健康を維持する

    ビタミンB6は、皮膚を構成するタンパク質の合成や代謝を助けることで、皮膚細胞の正常な生まれ変わり(ターンオーバー)を支えています。

    そのため、不足すると皮膚や粘膜の細胞が正常に生まれ変わりにくくなり、皮膚炎や口角炎、口内炎などの症状が現れやすくなります。

    また、ビタミンB6は皮脂分泌の調節にも関与していることから、ニキビや脂漏性皮膚炎の治療で補助的に使用されることもあります。

    ただし、ビタミンB6を多く摂取したからといって、誰でも肌がきれいになるわけではありません。

    不足している人では症状の改善が期待できますが、健康な肌を維持するためには、ビタミンB6だけに頼るのではなく、栄養バランスの良い食事と規則正しい生活習慣を心掛けることが大切です。

    ③ビタミンB6を効率よく摂取するには?

    ビタミンB6を多く含む食品

    ビタミンB6は、肉や魚などの動物性食品だけでなく、豆類や野菜、果物にも含まれています。

    代表的な食品には次のようなものがあります。

    可食部100gあたりのおよその含有量を示していますが、食品の状態や調理法によって多少前後します。

    • にんにく (1.53mg)
    • 牛レバー (0.89mg)
    • まぐろ(赤身) (0.85mg)
    • かつお (0.76mg)
    • 鶏むね肉(皮なし) (0.64mg)
    • 鶏ささみ (0.64mg)
    • 豚ヒレ肉 (0.45mg)
    • バナナ (0.38mg)
    • まいわし (0.37mg)
    • さんま (0.33mg)
    • じゃがいも (0.30mg)
    • 納豆 (0,24mg)
    • アボカド (0.23mg)
    • ブロッコリー (0.22mg)
    • 玄米(炊飯) (0.21mg)

    ※参考文献:文部科学省『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』

    ビタミンB6は水溶性ビタミンですが、比較的熱には強いとされています。

    一方で、水に溶け出しやすい性質があるため、野菜をゆでる場合は煮汁ごと食べられるスープや味噌汁などにすると効率よく摂取できます。

    また、ビタミンB6はタンパク質の代謝を助けるビタミンであるため、タンパク質を多く摂取する人ほど必要量も増えることが知られています。

    筋力トレーニングをしている方や高タンパク食を意識している方は、肉や魚だけでなく、ビタミンB6もあわせて摂取することが大切です。

    ビタミンB6欠乏症

    ビタミンB6が不足すると、アミノ酸の代謝や神経伝達物質の合成が十分に行われにくくなります。

    その結果、次のような症状が現れることがあります。

    • 口角炎
    • 舌炎
    • 口内炎
    • 脂漏性皮膚炎
    • 手足のしびれ
    • 貧血
    • けいれん(重度の欠乏時)

    ビタミンB6は通常の食生活で不足することはあまりありませんが、このような習慣がある人は不足することがあります。

    • 偏食が多い人
    • ダイエット中の人
    • 飲酒量が多い人
    • 高齢者

    また、ビタミンB6は脳内で神経伝達物質を作る際にも必要なため、不足すると神経機能にも影響を及ぼすことがあります。

    ビタミンB6過剰症

    ビタミンB6は水溶性ビタミンであり、通常の食事量で過剰症が問題になることはほとんどありません。

    しかし、サプリメントなどで長期間にわたり大量摂取すると、感覚神経障害が起こることがあります。

    代表的な症状には次のようなものがあります。

    • 手足のしびれ
    • 感覚が鈍くなる
    • 歩きにくい
    • ふらつき

    この神経障害は大量摂取を中止することで改善することが多いものの、重症では回復まで時間がかかる場合もあります。

    「ビタミンだから安全」と自己判断で大量に摂取するのではなく、サプリメントを利用する際は推奨量を守ることが大切です。

    ビタミンB6は1日にどれくらい摂ればよい?

    日本人の食事摂取基準(2025年版)では、ビタミンB6の推奨量は年齢や性別によって定められています。

    日本人全体としてビタミンB6が大きく不足しているわけではありません。

    しかし、偏食や過度なダイエット、飲酒習慣などにより不足する人は少なくありません。また、タンパク質の摂取量が多い人では必要量も増えるため、日頃から肉や魚、豆類などとあわせてビタミンB6を含む食品を意識して摂取することが大切です。

    ④医薬品としてのビタミンB6

    ビタミンB6は食品やサプリメントだけでなく、医療用医薬品としても使用されています。

    単に「ビタミンを補う薬」というだけではなく、神経障害の予防や治療、薬の副作用対策など、さまざまな場面で活用されています。

    ビタミンB6製剤にはどんな種類がある?

    医療現場で使用されるビタミンB6製剤には、主に次のようなものがあります。

    • ピリドキシン塩酸塩
    • ピリドキサールリン酸(PLP)
    • ビタミンB群配合剤
    • 一般用医薬品(OTC医薬品)

    ピリドキシンは体内で活性型であるPLP(ピリドキサールリン酸)へ変換され、アミノ酸代謝や神経伝達物質の合成を助ける補酵素として働きます。

    また、ビタミンB6は単剤だけでなく、ビタミンB群配合剤や総合ビタミン剤にも含まれています。一般用医薬品(OTC医薬品)では、口内炎や肌荒れ、疲労時のビタミン補給を目的とした製品にも広く配合されています。

    実際にはどんな病気で処方される?

    ビタミンB6製剤は、ビタミンB6欠乏症だけでなく、次のような疾患や病態に対して処方されます。

    • ビタミンB6欠乏症
    • 妊娠悪阻(つわり)
    • 末梢神経炎
    • イソニアジド服用時のビタミンB6欠乏予防
    • 放射線治療に伴う悪心・嘔吐
    • 一部の抗悪性腫瘍薬による副作用の補助療法

    このように、ビタミンB6は単なる栄養補給ではなく、病気の治療や薬の副作用対策としても利用されています。

    イソニアジドでビタミンB6が処方される理由

    結核の治療薬であるイソニアジド(INH)を服用すると、ビタミンB6の働きが低下することがあります。

    これは、イソニアジドがビタミンB6と結合し、活性型であるPLPの量を減少させるためです。

    その結果、次のような副作用が起こる可能性があります。

    • 手足のしびれ(末梢神経障害)
    • けいれん

    そのため、イソニアジドを長期間服用する患者さんでは、これらの副作用を予防する目的でビタミンB6が併用されることがあります。

    注射薬はどんな時に使われる?

    ビタミンB6には注射薬もあり、病院では内服が難しい患者さんや、速やかな補充が必要な場合に使用されます。

    例えば、次のようなケースです。

    • ビタミンB6欠乏症
    • 高カロリー輸液(TPN)による栄養管理
    • ビタミンB6依存性てんかん
    • 重症の妊娠悪阻などで内服が困難な場合

    特に高カロリー輸液(TPN)を行う患者さんでは、ビタミンB6を含むビタミン製剤を点滴へ混合して投与することが一般的です。

    服用時の注意点(テオフィリン・レボドパなど)

    ビタミンB6は比較的安全性の高いビタミンですが、一部の薬剤との相互作用には注意が必要です。

    • テオフィリン

    気管支喘息やCOPDなどで使用されるテオフィリンを長期間服用している患者さんでは、ビタミンB6代謝への影響が指摘されています。

    ビタミンB6は神経伝達物質であるGABAの合成にも関与しているため、ビタミンB6代謝の低下は、けいれんリスクとの関連が議論されています。

    ただし、通常の治療で問題となることは多くなく、必要に応じて医師がビタミンB6を併用することがあります。

    • レボドパ

    パーキンソン病治療薬であるレボドパ単剤では、ビタミンB6によってレボドパの末梢代謝が促進され、薬の効果が弱くなることがあります。

    しかし現在主流となっているこれらの配合剤ではほとんど問題になりません。

    • レボドパ・カルビドパ配合剤
    • レボドパ・ベンセラジド配合剤

    そのため、現在の日常診療で過度に心配する必要はありませんが、薬剤師として知っておきたい相互作用の一つです。

    ⑤まとめ

    ビタミンB6は、水溶性ビタミンに分類されるビタミンB群の一つで、アミノ酸(タンパク質)の代謝や神経伝達物質の合成に欠かせない栄養素です。

    そのため、筋肉や皮膚、脳や神経など、全身の健康維持を支える重要な役割を担っています。

    不足すると、口内炎や皮膚炎、末梢神経障害などの症状が現れることがあるため、日頃からビタミンB6を含む食品をバランスよく摂取することが大切です。

    また、医療現場では欠乏症だけでなく、妊娠悪阻やイソニアジドによる副作用予防など、さまざまな場面で活用されています。

    ビタミンB6は、筋肉・脳・肌の健康を陰で支える「アミノ酸代謝の立役者」です。毎日の食事を基本に、健康づくりへ役立てていきましょう。

  • ビタミンB2(リボフラビン)の効果とは?肌や口内炎によい理由・多い食品・医薬品まで薬剤師が解説

    ビタミンB2(リボフラビン)の効果とは?肌や口内炎によい理由・多い食品・医薬品まで薬剤師が解説

    ビタミンB2(リボフラビン)は、エネルギー代謝や皮膚・粘膜の健康維持に欠かせないビタミンです。

    「口内炎によい」「肌によい」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

    では、なぜビタミンB2は口内炎や肌によいのでしょうか。

    この記事では、ビタミンB2の作用機序や体内での役割、美容との関係、多く含まれる食品、医薬品としての使われ方について、薬剤師の視点からわかりやすく解説します。



    ① ビタミンB2とは?

    ビタミンB2(リボフラビン)は、水溶性ビタミンに分類されるビタミンB群の一つです。

    体内では、FMN(フラビンモノヌクレオチド)FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)という補酵素へ変換され、多くの酵素反応を助けています。


    特に、食事から摂取した栄養素をエネルギーへ変える代謝に欠かせないビタミンであり、その中でも脂質の代謝に深く関わっていることが特徴です。

    ビタミンB群の働きは、一般的に次のように説明されることが多くあります。

    • ビタミンB1 :糖質代謝をサポート
    • ビタミンB2:脂質代謝をサポート
    • ビタミンB6:タンパク質代謝をサポート

    このように覚えると、それぞれの特徴を理解しやすいでしょう。

    しかし実際には、それぞれのビタミンB群は互いに協力しながら働いており、糖質・脂質・タンパク質のすべての代謝に関与しています。

    そのため、ビタミンB2だけを十分に摂取すればよいというわけではなく、ビタミンB群をバランスよく摂取することが重要です。

    ビタミンB群の主な働きは、下の図のようにイメージすると理解しやすいでしょう。



    また、ビタミンB2はエネルギー代謝だけでなく、皮膚や粘膜、爪などの細胞が正常に生まれ変わるためにも欠かせない栄養素です。

    そのため、不足すると口内炎や口角炎、脂漏性皮膚炎などが起こりやすくなることが知られています。

    ② ビタミンB2はなぜ肌によいのか?

    ビタミンB2は「肌をきれいにするビタミン」と紹介されることがあります。

    では、なぜビタミンB2は皮膚や粘膜の健康維持に役立つのでしょうか。

    その理由は、ビタミンB2が補酵素として細胞のエネルギー産生を助け、そのエネルギーによって皮膚や粘膜の細胞が正常に生まれ変わり、ターンオーバーが維持されるためです。 

    皮膚や口の中の粘膜は、古い細胞が新しい細胞へと入れ替わる「ターンオーバー」を繰り返しています。

    ビタミンB2が不足すると、このターンオーバーが正常に行われにくくなり、口内炎や口角炎、皮膚炎などが起こりやすくなります。

    さらに、ビタミンB2は脂質の代謝にも深く関わっています。

    そのため、皮脂の代謝が円滑になり、余分な皮脂がたまりにくくなることで、毛穴の詰まりやニキビの予防にも役立つと考えられています。

    美容サプリとして使われる理由

    ビタミンB2が美容サプリメントに配合されることが多い理由も、これらの働きにあります。

    • 脂質代謝をサポートし、皮脂の分泌バランスを整える
    • 皮膚や粘膜のターンオーバーを支え、健やかな肌を維持する

    そのため、「肌をきれいにするビタミン」と紹介されることも少なくありません。

    しかし、ビタミンB2をたくさん摂れば誰でも美肌になるわけではありません。

    もともとビタミンB2が不足している人では、口内炎や肌荒れなどの改善が期待できますが、十分に摂取できている人がさらに大量に摂取しても、美容効果が大きく高まることを示す十分な根拠はありません。

    特に効果が期待できる人

    ビタミンB2は、次のような方では不足しやすく、補うことで改善が期待できる場合があります。

    • 偏食が多い人
    • ダイエット中の人
    • 飲酒量が多い人
    • ビタミン不足になりやすい人
    • ストレスが多く、栄養バランスが乱れやすい人

    これらに当てはまる方は、日頃の食事内容を見直し、ビタミンB2を意識して摂取するとよいでしょう。

    ビタミンB2は美容サプリとして販売されることもありますが、美しい肌を維持するためには、ビタミンB2だけに頼るのではなく、ビタミンB群を含めた栄養バランスのよい食生活を心掛けることが何より大切です。

    ③ ビタミンB2を効率よく摂取するには?

    ビタミンB2を多く含む食品

    ビタミンB2は、さまざまな食品に含まれていますが、特に動物性食品に豊富です。

    代表的な食品には次のようなものがあります。

    可食部100gあたりの含有量を示していますが、状態によって多少前後します。

    • 豚レバー(生)  (3.60mg)
    • 牛レバー(生)  (3.00mg)
    • 鶏レバー(生)  (1.80mg)
    • アーモンド (1.04mg)
    • ウナギのかば焼き (0.74mg)
    • 納豆 (0.56mg)
    • モロヘイヤ (0.42mg)
    • プロセスチーズ (0.38mg)
    • 卵 (0.37mg)
    • 牛乳 (0.15mg)

    ※参考文献 文部科学省『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』



    ビタミンB2は比較的熱に強いため、加熱調理による損失はそれほど大きくありません。

    一方で、水溶性ビタミンであるため、水に溶け出しやすいという特徴があります。

    そのため、野菜はなるべくそのまま食べたり、スープや味噌汁など汁ごと食べられる料理にすると、効率よく摂取できます。

    ビタミンB2が不足するとどうなる?

    ビタミンB2が不足すると、細胞のエネルギー代謝が低下し、特に細胞の入れ替わりが活発な皮膚や粘膜に症状が現れやすくなります。

    代表的な欠乏症には次のようなものがあります。

    • 口角炎
    • 舌炎
    • 口内炎
    • 脂漏性皮膚炎
    • 目の充血
    • 目が疲れやすい

    これらの症状が続く場合は、ビタミンB2不足だけでなく他の病気が隠れている可能性もあるため、症状が改善しない場合は医療機関を受診しましょう。

    過剰に摂取しても大丈夫?

    ビタミンB2は水溶性ビタミンであり、余分に摂取した量は尿中へ排泄されます。

    そのため、通常の食事や一般的なサプリメントの摂取量で過剰症が問題になることはほとんどありません。

    1日にどれくらい摂ればよい?

    日本人の食事摂取基準(2025年版)では、ビタミンB2の推奨量は次のように定められています。

    成人男性では約1.5mg、成人女性では約1.2mgが推奨量の目安です。 


    日本人全体でビタミンB2が不足しているとは言えませんが、偏食やダイエット、過度の飲酒などにより不足する人は少なくありません。

    特に若い女性ではエネルギー摂取量の減少に伴い、ビタミンB2を含むビタミンB群の摂取不足がみられることがあります。

     

    ④ 医薬品としてのビタミンB2

    ビタミンB2は食品やサプリメントだけでなく、医療用医薬品としても使用されています。

    ビタミンB2が不足すると、皮膚や粘膜の細胞が正常に生まれ変わりにくくなるため、口内炎や口角炎、皮膚炎などの治療や予防を目的として処方されることがあります。

    内服薬

    代表的な内服薬には次のようなものがあります。

    • ハイボン錠(リボフラビン酪酸エステル)
    • ブラビタン錠(フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム:FAD)

    これらは、ビタミンB2欠乏症のほか、これらの症状に対して使用されることがあります。

    • 口内炎
    • 口角炎
    • 舌炎
    • ニキビ
    • 脂漏性皮膚炎

    注射薬

    ビタミンB2には注射薬もあり、病院では食事が十分に摂れない患者さんや低栄養状態の患者さんに対する栄養管理の一環として使用されます。

    例えば、次のような患者さんでは、点滴製剤にビタミンB2を含むビタミン製剤を混合して投与することがあります。

    • 手術後で食事が摂れない患者さん
    • 高齢などで十分な栄養摂取が難しい患者さん
    • 消化管の病気などにより経口摂取が困難な患者さん

    また、一部では高コレステロール血症や片頭痛の予防などに対して使用される場合もありますが、これらは標準的な適応というよりも、症例に応じて使用されるケースです。

    特に高カロリー輸液(TPN)を行う患者さんでは、ビタミン類を併用することが一般的です。

    副作用と注意点

    ビタミンB2は比較的安全性の高いビタミンですが、医薬品として使用した場合には副作用が起こることがあります。

    内服薬では、こちらの消化器症状が稀にみられることがあります。

    • 下痢
    • 吐き気
    • 胃部不快感

    また、ビタミンB2を服用すると、尿が鮮やかな黄色になることがあります。

    これは余分なビタミンB2が尿中へ排泄されるためであり、健康上の問題はありません。

    一方で、尿中に排泄されたビタミンB2は、一部の尿検査に影響を与えることがあります。

    例えば、尿タンパク試験紙などでは偽陰性(本来は陽性であるにもかかわらず陰性と判定されること)を示す場合があるため、医療機関で検査を受ける際には、ビタミン剤を服用していることを伝えておくと安心です。

    ⑤ まとめ

    ビタミンB2は、水溶性ビタミンに分類されるビタミンB群の一つで、エネルギー代謝・脂質代謝・皮膚や粘膜の健康維持に欠かせない栄養素です。

    不足すると、口内炎や口角炎、皮膚炎などが起こりやすくなります。そのため、日頃からビタミンB2を含む食品をバランスよく摂取することが大切です。

    また、ビタミンB2は「肌をきれいにするビタミン」と紹介されることもありますが、ビタミンB2を摂るだけで誰でも美肌になるわけではありません。不足している人では改善が期待できますが、基本となるのは栄養バランスのよい食事と規則正しい生活習慣です。

    不足が疑われる場合や、医師が必要と判断した場合には、医薬品やサプリメントを活用することも選択肢の一つです。

    毎日の食事を基本としながら、必要に応じて上手にビタミンB2を取り入れ、健康な肌や粘膜を維持していきましょう。

  • 【薬剤師が解説】ビタミンCの本当の効果|美容・免疫・疲労回復まで仕組みからわかる完全ガイド

    「ビタミンC=美白や美容のための栄養素」

    そんなイメージを持っている方は多いかもしれません。

    しかし実際のビタミンCは、肌だけでなく、血管、免疫、ホルモン、代謝など、体のあらゆる機能を支える“基礎インフラ”のような存在です。

    不足すると、肌トラブルだけでなく、疲れやすさや回復力の低下といった不調にも関わることが知られています。

    また医療現場では、皮膚疾患や貧血治療、回復期の栄養補助など、さまざまな場面で処方薬としても使用されています。

    この記事では、薬剤師の視点から、

    「なぜビタミンCが体に必要なのか」を仕組みからわかりやすく解説します。

    • ビタミンCの本当の働き
    • 美容・健康への科学的な影響
    • 効率のよい摂取方法
    • 医療現場での使われ方

    読み終えるころには、ビタミンCが「特別な栄養素」ではなく、毎日の体調を支える“土台”である理由が理解できるはずです。

    まずは、ビタミンCの基本的な性質と生理作用を理解することで、その美容効果や健康への影響がどのように生まれるのかを整理していきます。

    ビタミンCとは

    ビタミンCの特徴と生理作用

    ビタミンC(アスコルビン酸)は人間にとって重要な栄養素でありながら、体内で合成することができません。

    そのため、食事やサプリメントからの摂取が必須です。

    ビタミンC(アスコルビン酸)は小腸で吸収され、特にストレスや代謝の活発な副腎、脳、肝臓、眼の水晶体、白血球に高濃度で分布・貯蔵されます。

    構造と特徴

    構造式を見るとわかりますが、ビタミンCは非常に酸化されやすい構造をしています。

    特に、五員環に付いている水酸基(–OH)に注目すると、この水酸基が酸化されやすく、H(水素)が外れやすいのです。この性質こそが、後述する「抗酸化作用」の正体となります。

    ビタミンCの主な生理作用

    ビタミンCの働きは多岐にわたりますが、特に重要なのは以下の点です。

    【1】コラーゲン合成に必須  

    コラーゲンは、体内で皮膚・血管・骨・軟骨の強度を保つ重要なタンパク質です。  

    食事から摂取したコラーゲンは、いったん体内でアミノ酸に分解され、その後あらためてコラーゲンとして合成されます。  

    そのため、摂取したコラーゲンがそのまま体内で利用されるわけではありません。

    コラーゲンは、3本のペプチド鎖が複雑に絡み合った「三重らせん構造」をしており、この構造を作る過程でビタミンCが酵素反応を助ける重要な役割を果たします。

    つまり、ビタミンCが十分にあることでコラーゲン合成はスムーズに進みますが、ビタミンCが不足すると、コラーゲンの合成が滞ってしまいます。

    【2】抗酸化作用

    体内で活性酸素が過剰に生成されると、その酸化作用により老化(シミ・シワ)や動脈硬化、がん、糖尿病などのリスクを高めることが知られています。

    ビタミンCは、不安定で酸化力の強い活性酸素に電子を1つ提供し、還元して安定化させる働きを持ちます。

    これにより紫外線などによる酸化ダメージを軽減し、シミやシワの予防に寄与すると考えられています。

    また、血中のLDLコレステロールの酸化を抑制し、血管内皮へのダメージを軽減することで、動脈硬化の予防にも関与します。

    さらに、コレステロールから胆汁酸が合成される過程にもビタミンCが関与するとされ、脂質代謝の維持にも関わっています。

    加えて、ビタミンEなど他の抗酸化物質が酸化された際には、それらを還元して再活性化させる働きもあり、体内の抗酸化ネットワークを支える重要な役割を担っています。

    【3】免疫機能の向上

    白血球(好中球やリンパ球)の内部には、ビタミンCが血中よりも高濃度で存在しています。

    ビタミンCは、白血球の遊走能や貪食能をサポートし、病原体に対する防御機能の維持に関与し、免疫反応の過程で発生する活性酸素から白血球自身を保護する抗酸化作用も担っています。

    感染症や強いストレス状態では体内のビタミンCが消費されやすくなることが知られており、不足しないよう日常的に摂取することが重要です。

    なお、ビタミンCの補給により風邪の発症を完全に防げるわけではありませんが、一般集団では予防効果は限定的ですが、強い運動負荷や寒冷環境下では発症率低下が報告されています。

    【4】鉄の吸収促進

    ビタミンCは、吸収されにくい非ヘム鉄(Fe³⁺)を、吸収されやすい二価鉄(Fe²⁺)へと還元する働きを持っています。

    野菜や穀物、豆類に含まれる非ヘム鉄はそのままでは吸収率が低いですが、ビタミンCと一緒に摂取することで吸収率が高まります。

    そのため、鉄欠乏性貧血の治療においては、鉄剤とビタミンCを併用することがあります。

    【5】ホルモン合成の補助

    ビタミンCは、体内でホルモンや神経伝達物質を作る際に必要な補助因子として働きます。

    ストレスを感じると、副腎から分泌されるコルチゾールなどのストレス対抗ホルモンの生成にビタミンCが使われるため、体内での消費量が増えると考えられています。

    また、脳や神経ではドーパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の合成にも関与しており、気分や集中力の維持にも関係します。

    さらに、セロトニンや睡眠ホルモンであるメラトニンの生成にも関わることから、ストレス応答や睡眠リズムを支える栄養素の一つとされています。

    ビタミンCが不足すると、これらのホルモンや神経伝達物質の働きが十分に保たれず、疲れやすい、ストレスに弱くなる、気分の落ち込み、集中力低下、睡眠の質の低下などの不調が起こりやすくなる可能性があります。

    【6】生体異物の代謝・解毒をサポート

    ビタミンCは、体内に入った薬物や汚染物質、重金属などの「生体異物(ゼノバイオティクス)」を、体外へ排出しやすくする解毒過程を支える働きがあると考えられています。

    これらの異物は主に肝臓で代謝されますが、その中心となる酵素が、シトクロームP450(肝臓で薬や有害物質を分解する酵素)です。ビタミンCは、この酵素系の働きを維持し、異物の代謝がスムーズに行われる環境を支える役割を担っています。

    また、消化管内で発生する可能性のあるニトロソアミンなどの発がん性物質の生成を抑える働きも報告されています。

    そのためビタミンCは、体内に不要な物質を溜め込みにくくし、日常的な解毒機能を支える栄養素の一つと考えられています。

    ② ビタミンCの美容効果

    メラニン生成の抑制

    ビタミンCは、メラニン生成に関与する酵素「チロシナーゼ」の活性を抑制します。

    これにより、以下の効果が期待できます。

    • シミ・そばかすの予防
    • 肌の明るさを保つ(美白効果)

    チロシナーゼは、メラノサイト(色素細胞)内でメラニン生成を促進する酵素です。

    メラニンは本来、紫外線などの刺激から肌を守る重要な防御機構ですが、紫外線刺激やターンオーバーの乱れによって過剰に生成・蓄積すると、シミや黒ずみ、色素沈着の原因となります。

    多くの美白成分は、このチロシナーゼの働きを抑えることで、メラニンの過剰生成を防ぎ、肌を明るく保つ作用を示します。

    ただし、ビタミンCは既にできたシミを完全に消すものではなく、主に新たなメラニン生成を抑える働きが中心です。そのため、継続的なケアとして取り入れることが重要とされています。

    コラーゲン生成が促進されるとどうなる?

    体内でコラーゲンが十分に維持されると、組織の構造が安定し、皮膚や血管などの機能が健やかに保たれます。

    コラーゲンは特に皮膚の真皮層に多く存在し、網目状の構造を作ることで肌の土台を支えています。この構造が保たれることで、

    • 肌のハリ・弾力の維持
    • 小じわの予防
    • 水分を保持しやすい状態の維持
    • 傷の治りやすさの維持

    などにつながります。

    また、コラーゲンは血管や関節、骨にも存在しており、体全体のしなやかさや強度の維持にも関与しています。

    加齢や紫外線、酸化ストレスによってコラーゲンは徐々に減少・劣化するため、体内で正常なコラーゲン代謝が保たれることが、肌や身体機能の維持に重要と考えられています。

    皮脂抑制・ニキビ予防

    ビタミンCには皮脂分泌を穏やかに調整する作用があり、ニキビ予防にも関与します。

    ビタミンCは抗酸化作用により皮脂の酸化を防ぎ、炎症を起こしにくい状態を保ち、皮脂量を適度に抑えることでアクネ菌の増殖を抑制し、ニキビができにくい肌環境づくりに寄与します。

    さらに、コラーゲン合成をサポートすることで毛穴周囲の皮膚構造を整え、毛穴の目立ちにくさにも関与すると考えられています。

    その結果、以下のような効果が期待されます。

    • ニキビの予防
    • 毛穴の目立ちにくさ
    • 肌荒れの改善サポート

    ただし、重症ニキビでは外用薬や内服治療が必要となるため、症状が続く場合は皮膚科受診が推奨されます。

    ターンオーバーの正常化

    ターンオーバーとは、皮膚の細胞が生まれてから角質となり、自然に剥がれ落ちるまでの「肌の生まれ変わり」のサイクルです。

    健康な成人では約28日周期ですが、加齢や紫外線、睡眠不足、栄養不足などにより年齢とともに遅くなる傾向があります。

    ビタミンCは抗酸化作用によって肌細胞を酸化ストレスから守り、正常な細胞分裂と再生環境をサポートし、ターンオーバーの乱れを整える働きが期待されます。

    ターンオーバーが整うと古いメラニンが排出されやすくなり、くすみ改善や肌のキメ向上につながります。一方、乱れると角質が蓄積し、シミ・くすみ・ニキビなどの肌トラブルが起こりやすくなります。

    ③ 欠乏症・過剰症

    欠乏症

    ビタミンCが著しく不足すると、「壊血病(かいけつびょう)」と呼ばれる欠乏症を引き起こします。壊血病ではコラーゲン合成が低下するため、歯肉出血や皮下出血、創傷治癒遅延などがみられます。

    一方、現代では典型的な壊血病はまれですが、診断名がつかない程度のビタミンC不足でも、以下の症状が現れることがあります。

    • 傷が治りにくい
    • 疲労感・だるさ
    • 免疫機能の低下(風邪をひきやすい)

    過剰症

    ビタミンCは水溶性ビタミンのため、余分な量は尿中に排泄され、通常の食事で過剰になる心配はほとんどありません。

    ただし、サプリメントなどで1日2,000mg以上を摂取すると、下痢・腹痛・吐き気などの消化器症状が起こることがあります。

    また、尿路結石のリスクが高まる可能性もあり、特に腎機能障害のある方は注意が必要です。

    ④ ビタミンCの摂取量と摂取方法

    食事摂取基準

    以下のビタミンC 食事摂取基準の表を参考にされてください。


    推奨量を日常的な摂取目標の目安とすることが望ましいです。


    令和元年の国民健康・栄養調査より日本人のビタミンC摂取量は平均93.5㎎とされており、推奨量をやや下回る数字です。

    しかし、飲酒の習慣のある人や喫煙者、感染症にかかっている方等はビタミンCが消費されてしまうので、より多くの摂取の必要がある場合があります。

    また、偏食や野菜不足の方はビタミンCが不足している可能性が十分にあります。

    さらには妊婦・授乳婦、ストレスを感じている人、美容・健康を意識する方は積極的な摂取を意識するとよいでしょう。

    効率的なビタミンCの摂り方(吸収率を高める食べ方・飲み方)

    ビタミンCは体内で重要な働きをしますが、性質上失われやすい栄養素でもあります。主な特徴は次のとおりです。
    これらの性質を理解すると、ビタミンCを無駄なく摂取するポイントが分かります。

    • 水溶性ビタミン:水に溶けやすく、洗浄や調理中に流出しやすい
    • 熱や空気に弱い:長時間の加熱や酸素への曝露で分解されやすい
    • 体内に蓄積されにくい:余剰分は尿中へ排泄されてしまう


    そのため、以下のような工夫をすると効率よく摂取できます。

    • 野菜や果物は生食、または短時間加熱を意識する
    • 水にさらしすぎない(切った後の長時間の流水は避ける)
    • スープや味噌汁など、溶け出した栄養ごと摂れる調理法を活用する
    • 一度に大量摂取せず、1日数回に分けて摂取する

    ビタミンCは小腸で能動輸送によって吸収されますが、一度に大量に摂取すると吸収率が低下します。

    さらに水溶性なので体内に蓄積されないため、数回に分けて摂取する方が効率よく体内に取り込まれます。

    また、ビタミンCサプリメントは弱酸性のため、空腹時に摂取すると胃部不快感を生じることがあります。

    吸収効率と胃への負担の両面から、食後の分割摂取が推奨されます。

    ビタミンCが多い食品

    ビタミンCが多く含まれる野菜と果物を記載しています。
    可食部100gあたりの含有量を示していますが、調理法や食材の部位、季節などによって多少前後します。

    【1】ビタミンCが多い野菜

    • 赤ピーマン (170㎎)
    • 黄ピーマン (150㎎)
    • ブロッコリー (140㎎)
    • パセリ (120㎎)
    • 菜の花 (110㎎)
    • ケール (81㎎)
    • ゴーヤ (76mg)
    • ピーマン (76㎎)
    • キャベツ (41㎎)
    • 小松菜 (39㎎)
    • ほうれん草 (35㎎)
    • えだまめ (27㎎)

    【2】ビタミンCが多い果物

    • アセロラ (800~1700㎎)
    • 黄色キウイ (140㎎)
    • レモン (100㎎)
    • 緑キウイ (71㎎)
    • 柿 (70㎎)
    • あけび (65㎎)
    • いちご (62㎎)
    • オレンジ (60㎎)
    • かぼす果汁 (42㎎)
    • ゆず果汁 (40㎎)
    • なつみかん (38㎎)
    • グレープフルーツ (36㎎)
    • ライチ (36㎎)
    • みかん (32㎎)

    このようにビタミンCは野菜や果物に豊富に含まれており、バランスの良い食事を心がければ、十分な量を摂取することが可能です。

    果物や野菜以外にも、実はイモ類にもビタミンCがあり、じゃがいもやサツマイモにも100gあたり約30㎎前後のビタミンCが含まれています。

    野菜や果物との違いは、イモ類に含まれるビタミンCはデンプンに守られているため、加熱しても失われにくいという特徴があります。

    フライドポテトや焼きイモにしても、調理条件によりますが、比較的多くのビタミンCが保持されることが知られています。

    日常的には、特定の食品に偏るよりも、野菜、果物、イモ類を組み合わせて摂取することが、安定したビタミンC補給につながります。

    ⑤ビタミンCの処方薬と使われ方

    主な処方薬と特徴

    【1】アスコルビン酸(ビタミンC製剤)

    最も基本的なビタミンC製剤。ビタミンC補充や抗酸化作用を目的として幅広く使用される。

    【2】ハイシー

    アスコルビン酸を主成分とする製剤で、ビタミンC補給や皮膚疾患や代謝障害の補助療法などに用いられる。

    【3】シナール配合錠

    アスコルビン酸に加えて、パントテン酸カルシウム(ビタミンB5)を含有。

    皮膚代謝のサポート目的で、にきび・色素沈着・肝斑などに処方されることが多い。

    【4】アスコルビン酸注射・点滴製剤

    経口摂取が困難な場合や、術後・重症患者・栄養管理目的などで使用される。
    美容目的等で使用されることもある。

    どんな疾患で処方される?

    【1】ビタミンC欠乏症(壊血病)

    現在ではビタミンCの顕著な欠乏は稀ですが、以下の状況で発症リスクがあります。

    • 栄養不足・偏食
    • 妊娠・授乳期
    • 高熱や炎症性疾患
    • 甲状腺機能亢進症
    • 長期の下痢
    • 手術後・外傷・熱傷(やけど)など

    ビタミンC欠乏により歯肉出血、皮下出血、創傷治癒遅延などの症状が出る場合があります。

    【2】皮膚疾患(補助療法)

    • にきび
    • 湿疹・皮膚炎
    • 炎症後色素沈着
    • 肝斑

    ビタミンCの抗酸化作用やメラニン生成抑制作用を目的として処方されます。

    ※単独で治す薬ではなく、外用薬や他の内服薬と併用されることが一般的です。

    【3】鉄欠乏性貧血の補助療法

    ビタミンCは鉄を吸収されやすい形(Fe³⁺→Fe²⁺)へ変換するため、鉄剤と併用されることがあります。

    なお、日本で使用されている多くの経口鉄剤はすでに二価鉄製剤ですが、ビタミンCは鉄の溶解性を高めることで吸収をサポートすると考えられています。

    実際の臨床では、このような併用例があります。

    ・フェロミア(クエン酸第一鉄ナトリウム)

    ・ビタミンC製剤

    このような処方は鉄吸収効率の向上を目的としています。

    【4】その他(代謝・回復補助)

    ビタミンCは体内のさまざまな代謝反応やストレス応答に関与しており、全身状態の回復をサポートする目的で処方されることがあります。

    • 薬物中毒時の補助療法

    ビタミンCの抗酸化作用により、薬物や毒性物質によって生じる酸化ストレスの軽減を目的として使用されることがあります。

    • 副腎機能低下時の補助

    ビタミンCは副腎に高濃度に存在し、ストレス時には消費量が増加すると考えられています。そのため、副腎機能低下や強いストレス状態では補助的に用いられる場合があります。

    • 術後、感染症、消耗状態

    手術後や感染症、発熱などでは体内の酸化ストレスや栄養消費が増加します。回復期の栄養補助としてビタミンCが処方されることがあります。

    ハイシーなどのビタミンC製剤は、このような全身状態の回復を目的として使用されることがあります。

    なお、同じビタミンC製剤でもシナールとハイシーでは適応や使用目的が一部異なります。

    皮膚代謝に関与するパンテトン酸を配合したシナールは主に皮膚症状の改善目的で用いられることが多く、比較的高用量のビタミンC補給を目的としてハイシーは、代謝補助や全身状態の改善を目的として使用されることが多いという特徴があります

    補足:ビタミンCは「補助療法」で使われることが多い

    ビタミンCは主要な治療薬というより、体の回復や代謝をサポートする補助薬として処方されるケースが多いのが特徴です。

    特に皮膚治療では即効性は乏しく、効果判定には時間が必要です。

    皮膚のターンオーバー周期(約28日前後)を目安に、一定期間継続して服用することが勧められる場合があります。

    また、美容目的のみの場合は保険適用外となり、自費診療となることもあります。

    ⑥ まとめ

    ビタミンCは「美白のための特別な栄養素」というよりも、体のさまざまな機能を支える“土台”となる存在です。

    肌、血管、骨、免疫、代謝・・・

    これらすべてに関わるからこそ、 不足しないことが何より重要です。

    まずは、普段の食事、偏食や生活習慣を見直し、 毎日安定して摂れているかを意識してみてください。

    また、他の記事でもビタミンに関する投稿を行っております。

    興味がある方是非ご覧になってください。

  • ビタミンB1の働きとは?不足するとどうなる?症状・効果を薬剤師がやさしく解説

    ビタミンB1の働きとは?不足するとどうなる?症状・効果を薬剤師がやさしく解説

    今回は、ビタミンB1の働きや不足すると起こる症状、臨床での使われ方についてまとめました。この記事で分かることを最初にお伝えします。

    ・ビタミンB1の働きと不足時の症状

    ・肩こりや疲労との関係

    ・脚気の歴史と現代医療での使われ方

    ・食事や薬での補い方

    ①ビタミンB1の特徴と生理作用

    ビタミンB1(別名:チアミン)は、水に溶ける「水溶性ビタミン」の一種で、食事から摂取した糖質から体のエネルギーを作り出す代謝に欠かせない栄養素です。

    ビタミンB1と糖質代謝の関係

    私たちは米やパン、麺類などを食べることで糖質を得ています。

    しかし、ビタミンB1がなければ糖質は効率よくエネルギーに変換できません。

    体内に入ったビタミンB1は、「チアミン二リン酸(TPP)」という形に変換され、糖質をエネルギーに変える代謝で補酵素として重要な役割を果たします。

    こうして作られたエネルギーは、体を動かすだけでなく、脳の働きにも使われます。

    そのため、ビタミンB1が不足すると糖質代謝がうまく進まず、疲れやすくなったり、集中力が低下したりする原因になります。

    ビタミンB1の神経への影響

    神経細胞の主要なエネルギー源も、糖質が分解されてできるブドウ糖であり、ビタミンB1はそのブドウ糖をエネルギーに変える反応にかかわっています。そのためビタミンB1は、神経の働きを支えるという重要な役割も担っているといえるでしょう。

    実際にビタミンB1が不足すると、神経の機能がうまく働かなくなって神経痛、しびれ等が現れることがあります。

    ビタミンB1不足による肩こり

    ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変換し、筋肉や神経の働きを支えていますが、不足すると筋肉でのエネルギー産生が低下するので、肩の筋肉は疲労しやすく、こわばりやすくなります。

    筋肉は使いすぎたり、血流が低下すると、乳酸などの疲労関連物質がたまって硬くなります。つまり肩の筋肉に過剰な負担がかかると肩こりを起こしやすくなります。

    ビタミンB1は、肩にたまった疲労物質である乳酸の蓄積を抑え、疲労回復を助ける働きがあります。

    また、ビタミンB1は神経機能の維持にも関与しており、不足すると神経の働きが低下し、肩こりに伴う痛みやしびれを感じやすくなることがあります。

    動悸や浮腫に関して

    ビタミンB1が足りなくなると、心臓がエネルギー不足を起こしポンプ機能が低下します。

    それが原因となって、動悸や浮腫等の症状が出ることがあります。

    ビタミンB1の肌への効果

    ビタミンB1は皮膚や粘膜の健康維持や、疲労・糖質過多に伴う肌荒れのケアに役立つと考えられています。

    しかし、ビタミンB1には直接的に肌をきれいにする作用があるわけではなく、美容目的でビタミンB1単独を服用することは一般的ではありません。

    実際に、ビタミンB1の処方医薬品には肌荒れやニキビに対する適応は設定されていません。

    ビタミンB1とアルコール代謝の関係

    アルコールは体内で、エタノール→アセトアルデヒド→酢酸と分解されていきます。

    この分解反応そのものに、ビタミンB1は直接関与しませんが、最後に代謝された酢酸がエネルギーとして利用される過程で、糖質代謝と同様にビタミンB1が重要な役割を果たします。

    そのため、飲酒量が多い人や慢性的にアルコールを摂取している人では、ビタミンB1が消費されやすく、不足しやすい状態になると考えられています。

    ②ビタミンB1摂取について

    ビタミンB1の必要摂取量

    ビタミンB1の1日推奨量は、成人男性でおよそ1.0~1.2mg。成人女性は0.7~0.9mgですが、10代女性や妊娠中の方では0.9~1.2mg程度の摂取を目標にすることが望ましいとされています。

    詳しい数値や年代別の基準については、下記リンクをご参照ください。

    出典:日本人の食事摂取基準(2025年版) ビタミン(水溶性ビタミン)

    日本人のビタミンB1摂取状況

    令和元年の国民健康・栄養調査によると、日本人(成人)のビタミンB1の1日平均摂取量は約0.95mgとされています。

    あくまでも平均値だけを見れば、欠乏症をおこすような摂取量ではなくとも、不足気味だという人は少なくなさそうです。

    また、糖質を多く食べる人、運動量が多い人、アルコールをよく飲む人は必要量が増加するため、不足に注意が必要です。

    ビタミンB1を多く含む食品

    代表的なものをあげると、以下のとおりです。

    • 豚肉 (0.9mg)
    • 玄米 (0.41mg)
    • 全粒粉小麦 (0.34mg)
    • 大豆 (0.88mg)
    • えんどう豆 (0.72mg)
    • 枝豆 (0.31mg)
    • うなぎ (0.75mg)
    • インスタントラーメン (0.23mg)
    • 大根ぬか漬け (0.33mg)

    それぞれ可食部100g中に含まれるおよその含有量ですが、部位や状態、加工・調理方法等により変動します。

    ビタミンB1を豊富に含む食品は豚肉、全粒穀物、豆類が代表的です。

    1970年代にはインスタントラーメンの常食が原因と考えられる脚気が社会問題となりました。これをきっかけに多くのメーカーが栄養強化のためにビタミンB1を添加するようになったという背景があります。

    また、大根そのものにはビタミンB1は少なく、可食部100gあたり約0.02mg程度とされています。

    一方、ぬか床にはビタミンB1が豊富に含まれており、ぬか漬けにすることで野菜に吸収され、生の大根と比較してビタミンB1が約10〜16倍以上に増加すると報告されています。

    ビタミンB1を効率よく摂取する方法

    【1】精製されていない食品を選ぶ

    白米 → 玄米
    食パン → 全粒粉

    【2】アルコールを控えめに

    アルコールの代謝にはビタミンB1が多く消費されてしまいます。

    【3】水や加熱で失われることを避ける

    ビタミンB1は水溶性ビタミンなので、水に溶けていきます。

    さらに、お湯で煮たり茹でたりの加熱調理でより失われやすくなります。沸騰したお湯で長時間加熱すると分解や溶出が進みやすくなります。

    汁ごと飲めるスープ等を程よく加熱調理等すれば効率よく摂取できます。

    【4】アリシンと一緒に摂取する

    ニンニク、玉ねぎ、ニラ等に含まれるアリシンと一緒に摂取することでビタミンB1の吸収率が高まるとされています。

    豚肉と一緒に、生姜焼き、野菜炒め、豚汁等の料理を作ることで効率的な栄養摂取に期待できます。

    ③ビタミンB1欠乏症・過剰症

    欠乏症

    不足すると以下の症状が起こることがあります。

    • 疲労感
    • 食欲不振
    • 手足のしびれ
    • むくみ
    • 動悸
    • 意識障害

    さらにビタミンB1不足が進むと「脚気」となり、心不全等の重篤な症状から命に関わるケースもあります。

    過剰症

    ビタミンB1は水溶性ビタミンであり、通常の食事摂取で過剰症が問題になることはほとんどありませんし、過剰摂取したとしても、余った分は尿中に排出されます。

    一部では頭痛、不眠、動悸、皮膚のかゆみなどが報告された例もありますが、稀です。

    サプリメントを使用する場合は、用法・用量を守ることが大切です。

    ➃脚気の歴史

    江戸時代

    当時は江戸では白米中心の食生活で、おかずは一汁一菜、もしくは二菜というような栄養の偏りが多く見られ、それにより脚気が流行し、「江戸わずらい」と呼ばれていました。

    脚気を発症した人が地方に戻り、療養すると症状が治まることが多かったため、江戸という土地そのものが病気の原因と考えられていたそうです。

    当時は豚や牛を食べる食肉の文化は乏しく、江戸では白米が主食として広く普及していましたが、地方では白米はぜいたく品で、米に麦、雑穀、芋などを混ぜてかさ増しした「かて飯」が一般的な主食でした。

    明治時代

    この頃になると、さらに白米は普及し、軍隊や一般市民にまで広がっており、脚気は結核と並ぶ二大国民病とされていました。

    日清・日露戦争では多くの兵士が、戦死でなく脚気で命を落とすことが多かったのです。

    海軍軍医総監で「ビタミンの父」とも呼ばれる高木兼寛は、脚気は栄養不足説を唱え、食事を改善し、脚気にかかる兵士を激減させました。ここから海軍カレーが発祥したとされています。

    対照的に陸軍軍医総監で文豪の森鴎外は、当時の医学では有力と考えられていた細菌説を主張したことから、脚気により多くの兵士を亡くしてしまいました。

    後の1910年(明治43年)に鈴木梅太郎がオリザニン(ビタミンB1)を発見し、脚気の原因がビタミンB1不足であることを解明しました。

    ⑤ビタミンB1の処方薬と臨床での使われ方

    ビタミンB1製剤は、欠乏症の治療だけでなく、神経症状や消耗性疾患など、幅広い臨床場面で補助的に使用されています。

    【1】脚気・末梢神経障害

    ビタミンB1欠乏による代表的な症状で、手足のしびれや感覚異常がみられます。

    臨床では、以下のビタミンB1製剤が内服または注射で使用されます。

    ・チアミン塩化物塩酸塩注射液(メタボリン注)

    ・フルスルチアミン(アリナミンF糖衣錠)

    【2】アルコール依存症・ウェルニッケ脳症

    アルコール代謝によりビタミンB1は著しく消費されます。

    慢性的なアルコール多飲や、食事を摂らずに飲酒を続けることで栄養失調となり、ウェルニッケ脳症を発症することがあります。

    緊急で注射によるビタミンB1投与が行われますが、ブドウ糖投与より先にビタミンB1を投与することが重要とされています。

    ビタミンB1が不足した状態でブドウ糖を先に投与すると、ピルビン酸の酸化的脱炭酸反応が進まず、アセチルCo-Aが生成できなくなります。反応が止まってしまったピルビン酸は乳酸に変換され、乳酸アシドーシスとなり、ウェルニッケ脳症を悪化させる可能性があります。

    【3】高カロリー輸液(TPN)

    点滴栄養では糖質代謝が亢進するため、ビタミンB1を併用しないと、アルコール依存症やウェルニッケ脳症と同様の機序で糖代謝が滞り、乳酸アシドーシスを起こす危険があります。

    そのため、高カロリー輸液では原則としてビタミンB1が併用されます。

    【4】妊娠悪阻との関係

    重度のつわりで食事が十分に取れない場合、ビタミンB1欠乏を起こすことがあります。

    そのため、点滴などでビタミンB1を補充されるケースがあります。

    【5】痛みに対する補助療法

    整形外科や内科では、肩や腰の痛み、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、帯状疱疹後神経痛等の補助療法としてフルスルチアミン(アリナミンF糖衣錠)が処方されることがあります。

    ⑥ まとめ

    ビタミンB1の糖質代謝とダイエットの関係は?

    結論から言うと、ビタミンB1は「脂肪を燃やす魔法のビタミン」ではないので、ダイエット効果に対して過度に期待しすぎることはしない方がいいかもしれません。

    ただ、ビタミンB1が不足すると、体の中では次のような変化が起こりやすくなります。

    • 代謝が落ちる
    • 疲れやすく、体を動かす気力が出ない


    その結果、活動量が減り、太りやすい体の状態を招いてしまうことがあります。


    ビタミンB1は派手さのない栄養素ですが、例えるなら「体のエンジンオイル」のような存在です。

    オイルが不足した車が本来の性能を発揮できないように、ビタミンB1が不足した体では、エネルギー代謝もスムーズに回りません。

    疲れやすい方、甘いものやお酒をよく摂る方は、まずはビタミンB1が不足していないかを意識してみてください。

    「燃やす」前に、エネルギーを正しく回せる体を整えることが、健康への第一歩です。

    また、他の記事でもビタミンに関する投稿を行っております。

    興味がある方是非ご覧になってください。

  • 【薬剤師監修】ビタミンAの効果・欠乏症・過剰症|食品・摂取量・妊婦の注意点・処方薬まで完全解説

    【薬剤師監修】ビタミンAの効果・欠乏症・過剰症|食品・摂取量・妊婦の注意点・処方薬まで完全解説

    ビタミンAは「目・皮膚・免疫」の健康を守る重要な脂溶性ビタミンです。一方で、摂りすぎると副作用や妊娠への悪影響が出ることもあり、正しい知識が欠かせません。

    この記事では、薬剤師の立場からビタミンAについてわかりやすく解説します。



    ①ビタミンAとは(構造と種類)

    ビタミンAは脂溶性ビタミンの一種で、主に以下の形で存在します。

    • β-カロテン(植物性食品に含まれる前駆体)
    • レチノール(動物性食品に含まれる)
    • レチナール(視覚に関与)
    • レチノイン酸(皮膚や細胞分化に関与)

    植物性食品に含まれるβ-カロテンは、体内で必要量に応じてレチノールに変換され、さらに酸化されてレチナールやレチノイン酸となります。

    食品中のビタミンA量は「レチノール活性当量(RAE)」という単位(μgRAE)で表されます。

    ②ビタミンAの特徴と効果

    ビタミンAは体のさまざまな働きに関与しています。

    目の健康を守る

    レチナールは網膜でロドプシンという物質の材料となり、暗い場所で物を見る機能(暗順応)に必要です。

    皮膚・粘膜を健康に保つ

    レチノイン酸は細胞の中にある核内受容体(RAR)に結合して遺伝子転写を促進し、細胞の分化、発生、成長、皮膚粘膜形成に関わります。

     乾燥や肌荒れを防ぎ、皮膚のターンオーバーを助けるため、美肌の維持に役立つ可能性があります。

    免疫機能の維持

    のど・腸・肺などの粘膜を健康に保ち、細菌やウイルスの侵入を防ぎます。

    成長・骨・神経の発達

    子どもの骨・筋肉・神経の成長にも関与します。

    抗酸化作用(β-カロテン)

    β-カロテンには活性酸素を抑える抗酸化作用があり、老化や生活習慣病の予防に役立つと考えられています。

    ③ビタミンA欠乏症・過剰症

    ビタミンA欠乏症

    明らかな欠乏症は日本では稀ですが、以下の症状が出ることがあります。

    • 夜盲症(暗い所で見えにくい)
    • ドライアイ
    • 皮膚の乾燥
    • 成長障害
    • 免疫力低下

    ビタミンA過剰症

    脂溶性ビタミンのため体に蓄積しやすく、過剰摂取で以下の症状が出ることがあります。

    • 悪心・嘔吐
    • 頭痛
    • 頭蓋内圧亢進
    • 脱毛
    • 骨密度低下

    ビタミンA過剰摂取で注意すべきポイント

    • レバー、うなぎ、卵黄、バターなどの動物性食品はレチノール型で吸収率が高い
    • サプリメントの長期使用は特に注意

    豚・鶏レバーは少量でも非常に多くのビタミンAを含みます。

    一方、野菜に含まれるβ-カロテンは必要な分だけ変換されるため、重篤な過剰症はほとんど起こりません。

    β-カロテンを摂りすぎると皮膚が黄色くなる「カロテン血症」が起こることがありますが、健康への大きな害はありません。

    ④ビタミンAの摂取量と摂取方法

    ビタミンA摂取基準は以下の表のようになっています。

    現代では食生活が豊かになり欠乏症の症状を起こすケースはほとんど見かけません。

    ただ、個人差がありますが、偏食や野菜不足等の栄養の偏りから一部の若年層や偏食のある方では不足することがあります。

    ビタミンAの効率的な摂り方

    食品に含まれるビタミンAやβ-カロテンは脂溶性なので水に溶け出にくく、脂質と一緒に摂ることで腸からの吸収率がアップします。油で炒めたり、ドレッシングオイルやナッツなどの脂質と組み合わせて食べることが効果的です。

    加熱調理をすることもあると思いますが、β-カロテンは熱に比較的強く、レチナールは熱、光、酵素、酸に弱い事も知っておいた方がよいでしょう。


    ⑤ビタミンAが多い食品

    (可食部100gあたりのビタミンAをレチノール活性当量(μgRAE)で表記)

    動物性食品

    • たらの油:37,000
    • 鶏レバー:14,000
    • 豚レバー:13,000
    • あん肝:8,300
    • うなぎの蒲焼き:1,500
    • ホタルイカ:1,500
    • 生ぎんだら:1,500
    • 牛レバー:1,100
    • 無発酵有塩バター:520
    • 生卵:210

    植物性食品

    • 焼きのり:2,300
    • しそ:880
    • モロヘイヤ:840
    • 粉唐辛子:720
    • にんじん:720
    • パセリ:620
    • 春菊:380
    • 乾燥わかめ:370
    • ほうれん草:350
    • 西洋かぼちゃ:210

    参考資料:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂・増補2023年)」

    ⑥妊婦さんに知ってほしいビタミンAの注意点

    ビタミンAには催奇形性(赤ちゃんの体の形に異常が出るリスク)があります。

    妊娠中の注意

    • 動物性レバーの大量摂取を避ける
    • 高濃度ビタミンAサプリメントを避ける
    • 上限量(2,700 μgRAE/日)を超えない

    妊婦さんは葉酸やビタミンAはもちろん、栄養摂取のためには緑黄色野菜をバランスよく摂取する事がとても大事です。野菜由来のβ-カロテンであれば過剰症リスクはほぼありません。

    サプリを飲むのであれば成分表示が「β-カロテン」または「ビタミンA(β-カロテン由来)」となっているものをお勧めします。

    また、妊娠・授乳中は使用できない薬も多いため、病院や薬局では必ず申告しましょう。

    ⑦ビタミンAおよび誘導体の処方薬と臨床での使われ方

    栄養療法

    経腸栄養剤(エンシュア、エネーボなど)や高カロリー輸液用総合ビタミン剤(マルタミンなど)にはビタミンAが含まれています。

    ビタミンA内服薬

    チョコラA錠(レチノールパルミチン酸エステル)

    以下のような特殊な病態で使用されます。

    • 膵嚢胞性線維症(膵外分泌不全により脂肪吸収が障害される)
    • アベタリポプロテイン血症(遺伝性で脂質と一緒にビタミンAを運べない)
    • 短腸症候群
    • 胆道閉鎖症

    いずれも希少疾患で、一般診療ではほとんど見かけません。

    皮膚科領域のビタミンA誘導体

    • ディフェリンゲル(アダパレン):ニキビ治療
    • ザーネ軟膏(ビタミンA):角化症・乾燥
    • チガソンカプセル(エトレチナート):重症角化症

    血液内科領域(抗がん剤)

    急性前骨髄球性白血病(APL)ではこちらの薬剤がAPL治療ガイドラインにおいて寛解導入療法の標準治療で使われます。

    • ベサノイドカプセル(トレチノイン)
    • アムノレイク錠(タミバロテン)

    これらはアントラサイクリン系抗がん剤と併用して使われ、白血病細胞を分化させる特殊な作用を持ちます。

    ⑧最後に

    • ビタミンAは目・皮膚・免疫に重要
    • 欠乏は少ないが過剰摂取には注意
    • 妊婦は特に動物性ビタミンAを控える
    • 医療現場では栄養剤・皮膚科・血液内科で使用される

    サプリメントや食事で迷った場合は、自己判断せず医師や薬剤師に相談しましょう。

    正しい知識で、安全にビタミンAを活用してください。

    また、他の記事でもビタミンに関する投稿を行っております。

    興味がある方是非ご覧になってください。