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  • 【横紋筋融解症とは?薬剤師がわかりやすく解説】

    横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)は、

    筋肉が壊れて中の成分(ミオグロビンなど)が血液中に流れ出てしまう危険な副作用です。

    早めに気づけば治療できる一方、

    放置すると腎不全を引き起こすことがあり、命にも関わります。

    ここでは、薬剤師として気になるポイントをまとめます。

    ■ 身体症状

    • 筋肉痛・筋肉のこわばり(特に太もも・ふくらはぎ・肩などの大きな筋肉で起こりやすい)
    • 筋力低下(力が入りにくい)
    • 尿の色が濃い・コーラのような赤褐色の尿
    • むくみ

    ■ 体調変化

    • 強いだるさ
    • 発熱
    • 吐き気
    • 動悸・息切れ(重症例)

    ■ 検査値の異常

    • クレアチンキナーゼ(CK、CPK)の大幅上昇
      骨格筋の破壊が原因です。正常値のおよそ5倍以上の1,000U/L以上で筋障害を疑い、5,000U/L以上で重症レベル、超重症例では100,000U/Lを超えることもあります。
    • ミオグロビン上昇
      赤褐色尿の原因はミオグロビン尿によるものです。筋肉から漏れ出したタンパク質が原因で、血液中ミオグロビンがおよそ1.5mg/dl以上は、他の項目と併せて診断の目安の1つとなります。
    • 尿素窒素(BUN)、クレアチニン上昇(Cr)
      腎機能の低下を示します。筋肉の破壊によって生じた物質が腎臓の負担となるためです。輸液による水分補給、原因薬剤の中止、腎機能が著しく低下した場合は血液透析などの適切な治療を行えば元の健康な腎機能に戻る可能性があります。

    この他にも高K血症、低Ca血症、高P血症等の電解質異常や、ASTやLDH等の肝機能に関する検査値も上昇します。

    ■ どのタイミングで症状を感じやすいか

    • 薬を飲み始めて数日〜数週間以内に出ることが多い
    • 運動量が急に増えた後
    • 脱水状態(夏場・発熱)で悪化しやすい

    ただし、スタチン系による横紋筋融解症は服用開始から数か月後に徐々に発症するケースがあるので、しばらくは注意が必要です。

    ■ スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)

    • アトルバスタチン
    • シンバスタチン
    • ロスバスタチン
    • プラバスタチン

    スタチン系の中でもプラバスタチンやロスバスタチンのような水溶性の薬は、脂溶性の薬よりも筋肉への移行が少ないので、比較的横紋筋融解症が起こる可能性は低いと言われています。

    ■ フィブラート系

    • フェノフィブラート
    • ベザフィブラート

    フィブラート系単独でも横紋筋融解症リスクがありますが、スタチン系との併用時にさらにリスクが高くなることが知られています。

    ■ その他

    • エゼチミブ
    • 抗精神病薬
    • 抗うつ薬
    • 抗菌薬(キノロン系など)
    • 抗てんかん薬

    頻度は薬により大きく異なり、すべてに当てはまるわけではありませんが、この項目の一部の薬で横紋筋融解症の可能性があります。

      横紋筋融解症の原因薬ごとに共通・確定した機序はまだありません。

    ただ、薬ごとに有力とされる推定メカニズムが存在しているので、あえてふれておきます。



    ■スタチン系

    スタチン系は筋肉のエネルギー産生に関するミトコンドリアの機能も阻害します。
    それにより筋肉へのエネルギー供給が減少することで、筋細胞が損傷してしまいます。
    さらにその損傷が深刻になると横紋筋融解症に発展してしまうと考えられています。

    ■フィブラート系

    フィブラート系もミトコンドリア障害や代謝異常が推定されていますが確立はされていません。

    ■ その他

    頻度は薬の種類により大きく異なりますが、スタチン+相互作用薬の併用時は注意が必要です。

    特にエゼチミブ単独では横紋筋融解症は極めて稀で、スタチンとの併用時の症例報告が中心です。

    他にも抗精神病薬、抗うつ薬、キノロン系等の抗菌薬、抗てんかん薬ではいずれも単一の確立した機序があるわけではなく、複数の要因が重なった場合(脱水、電解質異常、免疫反応、悪性症候群、セロトニン症候群、高アンモニア血症等)を介して横紋筋融解症が起こるのではないかと考えられています。

    ■ 薬物相互作用

    数年前にはフィブラート系はスタチン系と「原則併用禁忌」でしたが、見直されて「併用注意」となっています。併用により横紋筋融解症リスクは上がるので注意が必要です。

    他の薬がスタチンの代謝酵素(CYP3A4など)を阻害すると血中濃度が上昇し、リスク増加します。
    複数のスタチン系薬に対してクラリスロマイシンは併用注意、シクロスポリンは併用注意もしくは併用禁忌があります。

    他にもアゾール系抗真菌薬や抗HIV薬等のCYP3A4阻害作用に注意が必要です。

    ■ 食べ物・生活習慣の影響

    • グレープフルーツジュース→CYP3A4代謝阻害で濃度上昇
    • 激しい運動 → 筋細胞の破壊を助長
      過度のトレーニングによるオーバーワークや脱水は横紋筋融解症の原因となる可能性があります。
    • 脱水(発熱・下痢・大量の汗) → 腎障害のリスク増、熱中症に注意

    ■ 年齢・体質

    • 高齢者(筋肉量が少なく代謝が低下)
    • 低体重・栄養不足


    ■ 基礎疾患

    • 腎機能低下
      腎機能低下者は横紋筋融解症を起こすと急性腎不全のリスクが非常に高く、重症化しやすい傾向にあります。
    • 肝機能障害
    • 甲状腺機能低下症(潜在性も含む)
      スタチン筋症と甲状腺機能低下症は、どちらも筋力低下、筋痛、疲労感などの症状を引き起こす可能性があり、併発すると症状が強まることがあります

    • 急性腎不全(最も重大)
    • 高カリウム血症による不整脈
    • 慢性腎臓病
    • 重症化すれば命の危険も

    すぐに治療すれば後遺症なく回復するケースが多いです。

    横紋筋融解症そのものよりも、腎障害や電解質異常が命に関わるため、早期対応が最重要です。

    ■ 受診の目安

    • 筋肉痛やしびれがある
    • 赤褐色尿がある
    • 脱力感

    上記の症状があり横紋筋融解症が疑われる場合は、すぐに内科や腎臓内科を受診してください。

    さらに意識障害、38.5℃以上の高熱、呼吸困難、胸痛があれば救急受診しましょう。

    ■ 生活習慣アドバイス

    • 水分をしっかり取る
    • 急な無理な運動を避ける
    • 発熱・脱水時は医師に相談


    ■ 薬の中止について

    • 自己判断で中止しないこと
    • 医師が必要と判断した場合は、スタチンの種類変更や減量を行う

    横紋筋融解症が疑われるとき、CK(クレアチンキナーゼ)の数値が重要な判断材料 になります。

    筋肉のトラブルがあっても、CKが軽度上昇(目安:500 U/L 前後)で、症状が軽い場合は、薬を続けながら経過をみることが多いとされています。

    一方で、CKが1,000 U/L を超える場合、または基準値の 10倍以上の上昇がある場合 は、

    各種ガイドラインや総説でも「原因となる薬剤の中止、減量、または他剤への切り替えを検討する」ことが推奨されます。

    これは、CKの大幅な上昇が腎障害のリスクを高めること、横紋筋融解症に進展しやすいため早期介入が重要なことが理由とされています。

    ただ、CK値だけで判断せず、「症状の有無」、「尿の色」、「腎機能」を総合的に評価する事が重要です。

  • 夏に多い「とびひ(伝染性膿痂疹)」とは? 薬剤師が原因、治療、家庭での注意点をわかりやすく解説

    夏になると、子どもの肌にポツポツとできる水ぶくれ。
    「虫刺されかと思ったら、かさぶたになって広がってきた…」
    それ、もしかするととびひ(伝染性膿痂疹)かもしれません。
    今回は、薬剤師の視点からとびひの原因・症状・治療・家庭での注意点をわかりやすくまとめます。

    • 主に乳幼児〜小学生が多い(特に2〜6歳)、プールでの集団感染の報告もある
    • 皮膚が薄く、汗やかゆみによるかきむしり行動が多いことが原因
    • 夏の高温多湿環境で菌が増殖しやすい
    • まれに高齢者や糖尿病患者でも発症(免疫低下時)

    とびひは患部を触った手や指を介して接触感染します。

    水ぶくれやただれから出る浸出液の中に原因菌が存在し、それらが広がっていくためで、感染力が高いのも特徴の一つです。

    健康な皮膚であれば感染リスクは低いのですが、湿疹、アトピー、虫刺され、傷、あせも、皮膚乾燥などがあると感染リスクが高くなります。

    また、鼻の中には原因菌が常在しているので、小鼻や口まわりに傷があると感染しやすくなります。

    鼻をほじる事でも、その手から他の部位や傷口に原因菌が広がることもあります。

    兄弟で感染しあう事もあるので、環境や生活習慣にも注意が必要かもしれません。

    ■症状

    • 水ぶくれ(水疱)やかさぶた(痂皮)ができる
    • かゆみ・痛みを伴い、掻くと周囲に広がる
    • 顔・手足・体幹などに多く見られる
    • 重症例では発熱やリンパ節の腫れを伴うことも

    ■原因菌

    • 黄色ブドウ球菌:水ぶくれができる「水疱性膿痂疹」
    • A群β溶血性レンサ球菌:かさぶたになる「痂皮性膿痂疹」

    どちらも人の皮膚や鼻腔に常在する菌です。

    かき壊しなどの傷口から入り込み、炎症や感染を起こします。

    ■検査と診断

    多くの場合は見た目の症状で診断されます。

    再発や重症例では、膿から細菌を培養して原因菌を特定することもあります。

    予後

    適切な治療を行えば、1週間程度で治癒します。

    ただし、溶連菌型では急性糸球体腎炎の合併に注意が必要です。

    外用抗菌薬(軽症〜中等症)

    近年ではゲンタマイシンに原因菌が耐性を示し、無効であることがあります。

    感染範囲が狭い場合等は、下記の様な抗菌薬の塗り薬が中心で治療を行っていきます。

    • フシジン酸ナトリウム(フシジンレオ軟膏)
    • ナジフロキサシン(アクアチム軟膏)
    • テトラサイクリン(アクロマイシン軟膏)

    患部を石けんでやさしく洗いシャワーで洗い流した後に、外用薬を塗ってください。

    かさぶたの下にも菌が残っているため、清潔を保つことが重要です。

    塗り薬を塗って、さらにガーゼで保護するのが基本です。

    感染が広がっている場合や、集団感染を防ぐ目的で抗生物質の内服を行います。

    原因菌によって下記の様なセフェム系、ペニシリン系、ペネム系などが選択されます。

    • セファレキシン(ケフレックス)
    • セフカペンピボキシル(フロモックス)
    • アモキシシリン(サワシリン)
    • ファロペネム(ファロム)

    黄色ブドウ球菌が原因である場合はセフェム系が第一選択となりますが、溶連菌ではペニシリン系が第一選択となります。

    3~4日間抗菌薬を内服しても効果が無く、耐性菌(MRSA)が疑われる場合は、耐性のない抗菌薬に変更を検討します。

    かゆみ対策(補助療法)

    • かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬(アレグラ、ザイザルなど)でかきむしり防止。
    • 皮膚を傷つけないことが治癒の早道です。


    清潔を保つ

    • 1日1回は石けんで幹部をやさしく洗う
    • 泡で包み込むように洗い、強くこすらない
    • 患部が水やお湯で濡れるのは問題ないが、湯舟は細菌が繁殖しやすいので、シャワーが望ましい。

    ■感染予防のために

    • 手や皮膚を手洗いやシャワーなどで清潔に保つ
    • 傷口は洗って、ガーゼなどで保護する
    • 爪を短く切り、ひっかいて皮膚を傷つけないようにする
    • 症状が悪化したり、とびひが広がることを防ぐために触ったり掻いたりしない
    • タオルや衣類は感染者と共用しない

    入浴時やプールでは、水を介して感染する事はありません。

    しかし感染者との入浴は接触感染する可能性があるので、感染時は兄弟別々に入浴しましょう。

    プールは他者への感染リスクと症状悪化も考えられるので、とびひの症状が治まるまではお休みするようにしましょう。


    とびひは、火の粉が飛ぶようにあっという間に広がる様子から、その俗称となりました。

    保育園では暖かい時期に感染が流行する事もありますし、兄弟間での感染や二次感染も多いです。

    特に梅雨時期から夏場にかけては皮膚科は混みあう事が多いので、早い時間帯に病院へ行ったり、予約をしてから行く事もおすすめします。

  • 薬剤師ブログはじめます!!

    はじめまして!薬剤師の郷ツトム(HN)と申します!

    このたび、薬剤師ブログはじめることにしました!!

    私は薬剤師歴10年ほど。新卒からずっと薬局薬剤師として働いてきました。

    一般薬剤師→管理薬剤師を経験し、現在は複数店舗でエリアマネージャーとして勤務しながら、本社での業務や社員研修などにも携わっています。

    薬学生時代から私の心に刻まれた、薬剤師綱領・薬剤師行動規範のこの文言・・・

    薬剤師は、生涯にわたり知識と技能の水準を維持及び向上するよう研鑚するとともに、先人の業績に敬意を払い、また後進の育成に努める。

    私はこの言葉を薬剤師として働くうえで1つの軸としており、

    自身の学びや経験を、後輩薬剤師や薬学生に伝えながら働いています。

    このブログでは、薬剤師として調べたことや学んだことをわかりやすくまとめていこうと思っています。

    日々の業務で、

    「自分はこの薬や病気のこと深く理解できていないぞ」

    「この服薬指導は患者さんにどう伝えたら分かりやすいかな?」

    というような場面に出くわすこともしばしばです。

    スマホをポチポチしてすぐ疑問を解決できる事もあれば、

    書籍やガイドラインを見て深掘りする事が必要なこともあります。

    時には薬剤師同士が知識を共有しあう事で知識を深めることも!

    そうした日々の学びの積み重ねは、自分の薬剤師としてのスキルアップになっていると実感する事もあります。

    『知識を一つ身につけた!』この瞬間はドラクエのレベルが上がった時のような感覚ですよね(笑)

    ただ新しい知識を得ても、悲しいかな人間は忘れてしまう生き物でもあります。

    しかも医療は日進月歩で、新しい薬や情報も次々に出てきます。

    そこで、このブログはそんな“自分の学びの記録”にしつつも、

    会社や地域という枠にとらわれず、広い範囲で“誰かの役に立つ情報”にもなればいいな、という思いで始めてみました。

    基本は自分視点というか薬剤師視点でブログを書いていきますが、

    いろんな方に「なるほど」と思っていただけるように、できるだけ丁寧に書くように心がけます。

    薬剤師に限らず、医療介護に関わる方、薬の勉強をする学生の方、薬の事を知りたい一般の方などいろんな方に読んでいただきたいですし、読んでいただいた方に何らかの貢献が出来ればと思っています。

    最後まで読んでいただき、ありがとうございました! よろしくお願い致します!