患者さんにお薬の副作用歴を聞いたとき、
「ピリン系アレルギーなんです」と言われた経験はないでしょうか?
薬剤師であれば一度は耳にする言葉ですが、
実際に「ピリン系」とはどんな薬を指すのか、そしてどんな副作用に注意すべきか、
近年では調剤・服薬指導の機会が少ないため、正しく理解している人は意外と少ないかもしれません。
この記事では、ピリン系薬剤の特徴から副作用、
そして近年の使用状況までを整理してみます。
①ピリン系薬剤とは?薬効と薬理作用
ピリン系薬剤とは、ピラゾロン骨格という化学構造をもつ薬の総称です。
代表的なのは以下のような成分です。
- アンチピリン
- アミノピリン
- イソプロピルアンチピリン
- スルピリン
薬理作用としては、プロスタグランジンの生成を抑えることで、発熱や痛みを和らげる点が特徴です。
ピリン系薬剤は脳内の体温調節中枢や痛みの伝達経路といった中枢神経系への作用が優れており、強い解熱・鎮痛作用を発揮します。
②なぜ最近あまり処方されなくなったのか
ピリン系薬剤は、かつては解熱鎮痛剤として広く使われていましたが、現在では使用頻度が大きく減少しています。
その理由は主に以下の3点です。
- 重篤な副作用の報告(特に無顆粒球症)
- アレルギー反応の頻度の高さ
- 安全性の高いNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の普及
無顆粒球症は確率こそ低いのですが、
発症することで白血球の一種である顆粒球(好中球)が著しく減少し、
発熱・咽頭痛から敗血症へ進行することがあり、命に関わるリスクとして問題視されました。
その他にも軽微なものから重篤な、アレルギーや副作用などの可能性もあります。
③どんな副作用がどんな人に危険なの
■主な副作用
- 無顆粒球症
- 再生不良性貧血
- 発疹(ピリン疹)
- ショック
- 皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症
これらは免疫・造血系への影響が主因で、
特に過去に何かしらの薬が原因で薬疹などのアレルギーを起こしたことがある人、
多剤服用中の高齢者ではリスクが高くなります。
④現在でも処方されるピリン系薬剤
近年は減ったとはいえ、以下の薬剤は今でも処方を受け付ける事が稀にあります。
- SG配合顆粒
- クリアミン配合錠
上記2剤はどちらもイソプロピルアンチピリンを含んでいます。
昔から使っていて副作用歴がなく、他の解熱鎮痛剤では効果が低い方に処方されることもあります。
⑤一般用医薬品(市販薬)のピリン系薬剤
市販薬では、一部の総合感冒薬や鎮痛薬にイソプロピルアンチピリンが含まれていることがありますが、その種類は意外と多いので注意が必要です。
■イソプロピルアンチピリンを含む一般用医薬品
- セデス・ハイ
- セデス・ハイG
- サリドンA
- タイムコールP錠
- パイロンハイEX
- エザックエース
消費者自身が成分を見て判断するのは難しいため、
薬剤師が「ピリン系アレルギーの既往がある人には成分確認を行う」ことが大切です。
⑥まとめ
「ピリン系」とは、ピラゾロン骨格を持つ解熱鎮痛薬群を指す名称です。
発熱や痛みを抑える効果がある一方で、重い副作用に注意が必要です。
また、ピリン系薬剤はイソプロピルアンチピリンのように薬品名の最後に「ピリン」と付くのが特徴ですが一部に例外もあります。
たとえば、バイアスピリン(アスピリン)は「サリチル酸系」であり、ピリン系とはまったく別の分類に入ります。
現在は使われることが少なくなったとはいえ、医療従事者や副作用歴がある方は、ピリン系薬剤に関するある程度の知識は備えていた方がいいかもしれません。
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